テクノロジーの進化と社会の国際化が進む中で、子どもたちに求められる力も大きく変わってきています。これからの時代に必要なのは、単に知識を身につけることではなく、異なる価値観を受け入れ、多様な背景を持つ人々と協働しながら課題を乗り越える力です。
グローバル教育は、そのような力を育てるための重要な教育アプローチとして、世界のさまざまな国で注目を集めています。英語力はもちろん、異文化理解や思考力、主体性といった「人間力」を育む点で、従来の英語教育とは一線を画します。
本記事では、グローバル教育の定義や特徴、英語教育との違い、さらには学校や家庭での具体的な実践方法までを詳しく紹介します。グローバルな視点を持った子どもを育てたいとお考えのご家庭にとって、ためになる情報が満載です。
グローバル教育の目的や意義をしっかりと理解することで、将来の選択肢が広がります。お子さまと共に、その第一歩を安心して踏み出していきましょう。ぜひ、最後まで読んで参考にしてください。
グローバル教育とは

グローバル教育とは、世界的な視野を持ち、異なる文化や価値観を認めながら社会に貢献できる人材を育成する教育のことです。その起源は1960年代後半のアメリカ にあり、国際理解や平和教育の一環として提唱されました。
現在では、SDGsの推進やグローバル経済の拡大を背景に、子どもたちに求められる能力が大きく変化しています。語学力はもちろんのこと、異文化への理解、多様性を受け入れる思考、自ら問題提起して行動する探究心など、総合的な力が必要とされています。
グローバル教育は「持続可能な社会づくり」に貢献する力も育みます。社会課題に目を向け、他者と協力しながら解決に取り組む姿勢は、コミュニケーション力や将来のリーダーシップにもつながるのです。
日本でも、文部科学省や各自治体がグローバル教育推進を掲げ、教育カリキュラムへの導入が少しずつ進められています。グローバル教育は、単なる学習方法ではなく、変化の時代を生き抜くための「生き方の土台」となる重要な概念ともいえるでしょう。
下記の記事でバイリンガル教育についても詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
バイリンガル教育とは?メリット・デメリットや教育方法を解説|OWIS
英語教育との違い
「グローバル教育」と聞いて、真っ先に「英語を勉強すること」と思い浮かべる人も少なくないでしょう。確かに語学力は世界とつながるための大切なツールですが、グローバル教育の本質はそこにとどまりません。
英語教育は「英語という言語スキルの習得」に重きを置きますが、グローバル教育は「言語を通じて社会と関わり、自らの意見を表現し、課題を解決する力」を育む教育です。
例えば、異なる文化的背景を持つ相手と円滑にコミュニケーションを取るためには、ただ単語や文法を覚えるだけでは不十分です。背景にある価値観や考え方への理解、状況に応じた柔軟な対応力が求められます。
さらに、自分の考えを明確に伝え、他者の意見を尊重しながら共通点を見つける対話力も必要です。つまり、グローバル教育は「世界とつながる力」を多角的に育てる教育なのです。
英語はあくまでその手段のひとつであり、グローバル教育の一要素に過ぎません。英語が話せるだけではなく、それを活用して“何ができるか”が問われる時代に入っているのです。
グローバル化が進む現代社会
現代は、国境を越えた交流があらゆる場面で当たり前となった時代です。インターネットの普及により、世界中の情報にリアルタイムでアクセスでき、SNSやオンライン通話などを通じて異なる文化圏の人と簡単につながれる環境が整いました。
企業活動においても、海外の顧客やパートナーと仕事をする機会が増えており、グローバルな視野を持った人材がますます重要視されています。
こうした時代背景の中で、「世界と関わる力」を育てるグローバル教育が必要不可欠となってきました。これは単なる語学教育にとどまらず、異なる文化や価値観を理解し、自分の意見を持って行動できる力を養う教育です。
子どもたちが将来、国際社会の一員として活躍するためには、小さい頃から多様な視点に触れ、柔軟に思考し、相手と協調する力を育むことが大切です。
変化が激しく、先が見通しにくい現代において、グローバル教育は「今を生きる力」そして「未来を切り拓く力」を育てる、非常に重要な教育のひとつといえるでしょう。
なぜ今、グローバル化が注目されているのか?
近年「グローバル化」への関心が急速に高まっている背景には、複数の要因があります。特に以下のような要因が、教育においてもグローバルな視点を育成する必要性を高めています。
- 経済の国際化
多国籍企業や海外との取引が増え、職場においても異文化間の協働が求められる
- AI・DXの進展による競争の激化
機械で代替できない「人間ならではの力」として、柔軟な思考力や多様性への理解が注目されている
- 社会課題の複雑化
気候変動や難民問題など、国境を越えた課題に対して、多角的に考え協働する力が必要
まず、挙げられるのは、経済の国際化です。インターネットや物流の発達により、国境を越えたモノやサービスの取引が拡大し、日本企業も世界を市場とする時代となりました。
さらに、AIや自動化技術の進展により、単純作業だけでは価値を生み出せない社会へと移行しています。これからの時代に求められるのは、AIでは代用がきかない「自ら考え、他者と協力して課題を解決できる人材」です。
加えて、外国人労働者の増加や海外拠点の設立などにより、国内の職場でも多様な文化背景を持つ人々と関わるようになっています。こうした状況では、英語が使えるだけでなく、異文化理解や柔軟なコミュニケーション力が必要です。
これらの背景から、単なる知識の蓄積ではなく、思考力・共感力・コミュニケーション力などの本質的な力を育むグローバル教育へのシフトが求められているのです。
グローバル化は、将来の話ではありません。すでに私たちの生活に深く関わっており、子どもたちには「今この瞬間」からその準備が必要なのです。
グローバル人材に求められる力とは?
グローバル人材と聞くと、「英語が話せる人」や「海外で働く人」などのイメージを持つかもしれません。しかし、それだけではグローバル人材とはいえません。
現代社会が求めるグローバル人材とは、多様な価値観を理解し、異なる意見を尊重しながら、自らの考えを的確に表現できる人を指します。具体的には、コミュニケーション力、協働性、批判的思考力、主体性、異文化の理解などが必要とされています。
表にまとめましたので、ご覧ください。
求められる力 | 内容 |
コミュニケーション力 | 言語を超えて、相手の立場を理解し対話できる力 |
協働性 | 多様な意見を受け入れ、チームで成果を出す力 |
批判的思考力 | 情報を鵜呑みにせず、自ら課題を見つけて深く考える力 |
主体性 | 自分の意志で行動し、課題に対して責任を持って取り組む姿勢 |
異文化理解 | 自分とは異なる文化や価値観を尊重し、共存する姿勢 |
他にも、持続可能な社会の実現に向けて、SDGsの視点を持ちながら行動できる力も重視されています。文部科学省や経済産業省でも、これらの力を育成することを教育の重点目標としています。
グローバル人材は、決して「海外で活躍する人」ではありません。海外はもちろん、地域社会や日本国内においても、異なる価値観を持つ人たちと協働しながら新たな価値を創出できる人材こそが、これからの社会にとって必要とされています。
グローバル教育は、こうした力を育むための重要な手段であり、将来を見据えた学びの基盤といえるでしょう。
グローバル教育のメリット

グローバル教育は、子どもたちの将来に直結するさまざまな能力を育みます。単に語学力を高めるだけでなく、異文化理解や柔軟な思考、実践的な対話力、さらには自分の意見を持って表現する主体性を養うのです。
人としての成長にも大きく貢献するグローバル教育。ここでは主なメリット4つに注目して解説します。
- 多文化理解力が育つ
- コミュニケーション力が向上
- 将来の進学・就職で有利になる
- 問題解決力や柔軟性が身につく
多文化理解力が育つ
グローバル教育の大きな特徴のひとつが、多文化理解力を育てる点にあります。
子どもたちは異なる文化背景や生活習慣、価値観に触れることで、「違いは否定ではなく、理解する対象である」という姿勢を身につけます。
たとえば、学校での国際交流イベントや外国人講師による授業、海外とのビデオ通話などの体験は、多様な考え方に触れる絶好の機会です。こうした体験は、固定観念にとらわれない柔軟な思考や、他者への共感力が育つ土台になります。
さらに、異文化への理解は、いじめや差別といった社会課題の予防にもつながります。グローバル教育では、他者を理解しようとする姿勢を「当たり前の感覚」として育てることができます。
将来的に国際社会で活躍する場面だけでなく、日本国内でも多様な人々と共に生きていく現代において、このような力は欠かせません。子どもたちが人間関係においても自信を持ち、協調的に行動できるようになるためには、多文化理解の意識を幼少期から育てることが重要です。
コミュニケーション力が向上
グローバル教育では、語学力と並んで「伝える力」が重視されます。言葉の壁を超えて他者と意思疎通を図るためには、語彙や文法の知識だけでなく、状況を読み取る力や相手の立場を理解する姿勢も欠かせません。
例えば、英語イマージョン授業では、英語を使って算数や理科を学ぶ中で、自然と表現力や聞く力が養われます。さらに、グループ活動やディスカッションを通して、自分の意見を整理し、相手にわかりやすく伝える練習を重ねることができます。
このような経験は、語学と併せて実践的コミュニケーション力が育つ基盤となります。加えて、異なる文化圏の人々と関わることで、非言語的な表現を体得し文化的背景を考慮する「対応力」も身につきます。
これらの力は、学校生活だけでなく、将来の進学や社会人生活においても大きなアドバンテージとなります。
グローバル教育を通して育まれるコミュニケーション力は、「相手の話を聴く」「自分の考えを伝える」「相互理解を図る」という、人間関係を築きあげる際の大切なスキルといえるでしょう。
将来の進学・就職で有利になる
グローバル教育を受けて育った子どもたちは、将来の進学や就職においても高い評価を受ける可能性が高まります。
海外の大学では、国際バカロレア(IB)などグローバル基準に沿った学びを経験してきた生徒に対して、入試における優遇措置や出願枠を設けているところがあります。また、自己表現力や探究心が求められる推薦入試では、グローバル教育の経験が大きなアピールポイントになるでしょう。
さらに、社会に出た後もその経験値の差は明確です。多国籍企業や海外展開を進める日本企業では、多様な文化に対する理解を持ち、英語を用いた円滑なコミュニケーションができる人材が強く求められています。
また、留学経験や国際ボランティア活動などの実績も、履歴書を印象的なものにするでしょう。
グローバル教育で培った語学力、対話力、柔軟性、主体性といった力は、どの分野でも活用できる実践的なスキルです。子どもたちが将来、自信を持って進路を選び、自らの可能性を広げていくために、グローバル教育は大きな土台となるのです。
海外の大学に進学を考えている人は以下の記事も参考にしてください。
問題解決力や柔軟性が身につく
グローバル教育のもうひとつの大きなメリットは、子どもたちの「問題解決力」や「柔軟性」を育てる点にあります。
異文化や未知の状況に直面する場面では、従来の知識だけでは通用しないこともあります。そうした中で試行錯誤するうちに、状況を分析し、自分で考えて行動する力が自然と養われていくのです。
例えば、ある勉強方法では、子どもたち自身がテーマを設定し、調査・討論・発表までをグループで進めていきます。この過程では、相手と意見をすり合わせる交渉力や、計画を調整する柔軟な姿勢が求められます。
また、予想外のトラブルや多様な視点に出会うことで、「ひとつの正解にとらわれない」思考が養われます。こうした力は、変化の激しい現代社会を生きるうえで欠かせないスキルです。
AIの進化やグローバルな課題の複雑化により、「答えのない問題」に挑むことが当たり前になりつつあります。そのような時代において、グローバル教育で育まれる問題解決力や柔軟性は、子どもたちが将来、どのような分野においても活躍できる強力な武器となります。
グローバル教育の事例
グローバル教育は、特別な場に限られた取り組みではありません。近年では、学校・地域・家庭など、子どもたちの身近な環境でもさまざまなかたちで実践が広がっています。
ここでは、4つのシーンごとにグローバル教育を実践している例を紹介します。
- 学校
- 地域社会
- 家庭
- インターナショナルスクール
学校
多くの学校では、日常の授業の枠を超えて国際理解や異文化交流に重きを置いた教育活動を展開しています。以下のような取り組みが主流です。
- 国際交流プログラム
海外の学校とビデオ通話を行ったり、交換留学を実施したりすることで、異文化体験を提供
- 異文化理解教育
多文化をテーマにした授業や「国際デー」などのイベントを通して、文化の違いや共通点を実感する機会を設けている
- 英語教育の強化
実践的な語学力の向上のため、英語で教科を学ぶイマージョン教育や、オンライン英会話を取り入れる学校が増えている
- 海外研修や短期留学
ホームステイや現地校での授業を通じて、リアルな国際社会に触れる貴重な機会を提供
こうした取り組みは年々広がりを見せています。学校という日常的な学びの場に、世界を身近に感じられる仕組みがあることで、子どもたちは自然にグローバルな視野を持つようになっていくのです。
地域社会
地域レベルでも、住民や行政、国際交流団体による多文化共生活動が盛んにおこなわれています。以下のようなプログラムが挙げられます。
- 多文化共生イベントの開催
各国料理体験や文化紹介フェスティバルなどを通じて、楽しみながら異文化に触れる機会を設ける
- 国際交流協会の支援活動
地域の国際交流協会が、外国人住民と日本人の交流の場をつくり、子どもも大人も国際的な視点を身につけられるよう支援
- 地域ボランティア活動
留学生支援や通訳ボランティア、多文化対応の活動などがあり、それに関わることで、実践的なコミュニケーション力や異文化理解が育つ
こうした活動に参加することは、子どもにとって身近な社会が「世界」へとつながっていることを実感する良いきっかけとなります。
家庭
家庭でも日常の中にグローバルな要素を取り入れることで、子どもの興味と理解を深めることが可能です。以下のような例があります。
- 親子での海外旅行やホームステイ
実際に異文化の中で生活し、その空気を肌で感じる体験は、子どもの視野を一気に広げる
- 外国語の絵本や動画を活用
幼い頃から英語や他言語に触れさせることで、語学への抵抗感が減り、学ぶことへの意欲が育つ
- 異文化に関するニュースを家族で共有
世界で起きている出来事を話題にし、親子で考えると、国際的な視点と対話力を同時に伸ばせる
家庭でのグローバル教育は、新しい価値観に触れられる最初のステップです。子どもにとって安心感のある環境での経験は非常に有効です。
インターナショナルスクール
インターナショナルスクールでは、「国際的な視点」を取り入れたグローバル教育を体系的に実施している学校が多く見られます。主な特徴は以下の通りです。
- 英語イマージョン教育
授業を英語で実施し、語学力と学習力の両面を伸ばす
英語を「勉強する言語」ではなく「使う言語」として捉える教育
- 探究型/PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)
子どもたちが問題提起し、グループで課題解決に取り組むことで、主体性と協働性が育まれる
- 多文化交流・国際イベント
国際デーや文化祭などを通じて、異なる文化や宗教を持つ人々と実際に関わり、共感力と異文化理解を深める
このようにインターナショナルスクールでは、英語を中心としたカリキュラムが採用されており、多様な国籍や文化背景を持つ生徒が共に学ぶことで、自然とグローバルな感覚を習得します。
インターナショナルスクールのOWIS(One World International School)でも以下のような取り組みをおこなっています。
- 多様なカリキュラムに基づく学習環境での思考力育成
- 地域社会と連携した地域イベント、課外活動、シーズンキャンプ
- 親子で体験できる英語を基盤とした探究学習
家庭でのグローバル教育に限界を感じる方や、より実践的な国際教育を求めるご家庭にとって、インターナショナルスクールは非常に良い環境といえるでしょう。
OWISのことをさらに詳しく知りたい人は以下よりご覧ください。
お子さまに合ったグローバル教育の選択を

グローバル教育は、これからの時代を生きるお子さまたちに、ますます必要となるものです。異なる文化を理解し、語学力や対話力、自ら考えて行動する力を習得することは、世界のどこでも通用する「人間力」の基礎となります。
大切なのは、お子さま一人ひとりの特性や興味に合った環境を選ぶことです。学校教育、地域活動、家庭での取り組み、そしてインターナショナルスクールなど、それぞれの特長を理解し、どのアプローチがお子さまの成長に最も適しているのかを見極めることが求められます。
実践的な英語力や探究型の学習を重視したい場合は、OWISのようなインターナショナルスクールが選択肢のひとつです。多様性を尊重し、世界と自然につながる学びの場があります。
さらにOWISでは英語イマージョンや探究型学習、国際イベントなど、グローバル教育のあらゆる要素を取り入れたカリキュラムを展開しています。下記のリンクより、ぜひご覧ください。
学校見学やオープンキャンパスの情報も随時公開されていますので、ぜひチェックしてみてください。
グローバル教育は、単なる知識の習得ではなく、「未来を生きる力」を育てるものです。お子さまにとって、どのような教育が最適なのかを見定め、未来につながる選択をしましょう。